新海誠作品「君の名は。」ネタバレ感想と考察。記憶喪失系がデッドエンドより泣けるのは、ハッピーエンドとバッドエンドを兼ねているから。
トピック「君の名は。」について
ストーリー詳細(ネタバレ無し→有り)
ストーリー全部細かく覚えていたため観た後におさらいとして読んでみては↓
http://joshiryokuyorigoiryoku.hatenablog.com/entry/2016/09/01/051906
文字に起こしてみるとやっぱり映像で、映画館で観たほうが、この感動が伝わるな〜と思った。
これから一緒に観に行く友達とアニメイトで待ち合わせをしていると、
「君の名は。」特設コーナー前で話している女子2人の会話が耳に入った。
「この映画〇〇が観に行って凄い良かったって言ってたよ〜感動できるらしい。」
「あ、でも周りリア充ばっかだったらしいよ〜」
まじか。リア充退散!
一応女子だし、18年間生きてて、古今東西の恋愛もの好んで観たり読んだりしたけど、高校卒業してからはなかなかキツくなってくるもんだ。最近では「スカッとジャパン」の青春スカッも無理に…
なんでかって…そりゃ…「私にはそんな青春なかった」からですよ…というのは余談です。なかなか本題に入らない。
そしてコーナーの中央に飾ってあるモニターからヒロイン三葉ちゃんが「早くしないと!みんなが危ない!」的なことを叫んでいた。あまり前情報を入れたくないが、誰かを救う要素も入ってるのか〜
と軽く考えてたけど、まさか…
と、適当な予想の遥か斜め上くらいに、気持ちいいくらいフルスイングされた。
以下ネタバレ↓「仁」「ひだまりの彼女」「Charlotte」ネタバレしてる
そして予告でもわかる通り、「こいつらだんだん記憶なくなるだろうな」と。
そもそもタイトル「君の名は。」ですし。
「俺/私と入れ替わっていたのは誰?あなた誰?」には二種類のニュアンスがある。
「知らない状態から知る」ことと「知っていたのに今では誰かわからない」ことの。
だからこれは記憶徐々に喪失系かな、と身構えていたわけで。
個人的に。死ぬ系より記憶なくなる系の方が辛くて泣ける。
「君の名は。」は予告の時点から覚悟してたし、消えていく記憶に抗うような2人の必死さに心打たれたし、綺麗だったから、許せる。
……欲を言えば、最後の最後に今まで消えていった記憶が蘇ったりしないかなーとご都合主義的な続編かなにかを切望してる。
だいたい、タイムスリップ系には「記憶の自然消滅」がつきもので、二周目は主人公以外の人は主人公と関わった記憶がなくなったりしているから、主人公のメンタルやられちゃう。その上、「リゼロ」とかみたいに、死を知っているから阻止しなきゃ行けないし、精神的にツライよなーと。特に「君の名は。」は何回でも発動するわけじゃないし、ストレスフル。
タイムリープするやつで、綺麗で切なくて感動する作品といえばの「時かけ」。ラストシーンいい感じに終わってるけど、まあ一生会えないだろうな、っていうのを承知の上での発言なんだろうな。
それに、あれはなくなった記憶の分、ヒーローは人外()だったから察知できてたけど、でもやっぱリープ前に告白受けてれば良かったのにな…そしたら帰らなくて良かったんじゃ…とか思うんだよなー
タイムトラベルするやつ以外でも映画「ひだまりの彼女」とかもなぜか記憶消えてたけど、ある曲を聴くたびに何故か泣いてしまう、しかもその記憶のない状態で見知らぬ(生まれ変わりみたいな猫と女性)に出会って運命を感じる。
「仁」は歴史の矯正力だし、誰かは忘れた…けど、誰かをとても愛していてその人が誰かはわからないけど〇〇先生であって、その人との記憶が全て消える前にその人に向けて自分の思いの丈を書き連ねた手紙を残し、後世に残し、最終的にその人である仁先生が読んだ。という救いがあったし、綺麗だった。
「Charlotte」とかも、世界救ったからその代償である記憶がなくなり、でも帰ってくるという約束を果たしその人と残りの人生を過ごすというもの。記憶がなくなったからこそ、自暴自棄の闇落ちしていくところを彼女との思い出のものによって心が救われるシーンが光る。
と、いろいろな記憶が消える系を列挙してみたが、
ほとんど一見ハッピーエンド、なんだよなー
個人的に記憶消えてる時点でハッピーエンドじゃないから嫌い!というか毛嫌いしてるわけではないけど、なんかモヤモヤする。
記憶って人生そのもので、生きた証で、誰かと誰かの間の絆であるわけだから、それが消えるって死んだも同然だと思うんだよね…
「恋空」のように、愛していた人との思い出を胸に子供と生きていく…みたいな、相手死んじゃった系のほうがまだマシな気がする。
ともに添い遂げることができたものの、相手が自分が誰かわからないとか一緒にいる意味あるのかな…たとえ感情は忘れてなかったとしても。
事故か心因性ショックなにかで、記憶喪失(戻ることが多い)ということもなかなか起きないのに、記憶が徐々に消失していく系はもっと非現実的だ。人が死ぬほうがまだリアルだ、と。
と、散々非現実的だーと頭ではわかっていたとしても、「死ぬ」っていう飛び道具よりは、「記憶消失」っていう爆弾のほうが辛いから、心がえぐられる比率が大きくて好きなんですよね。なんだかんだ。ドマゾなんじゃないかな、自分。
物語の展開上死ぬしかなかったとしても殺すことしかできない書き手は好きじゃない、人の人生なんだと思ってんだ。安易で安直な飛び道具だとしても書き手が適当に殺しちゃうのは好きじゃないんだなこれが。どんだけワガママ。まあ人生なんてあっけないからしょうがなくても、人気キャラ殺して、それ以降その作品読みたくなくなっちゃった人もいるようだし、使うところってすごい重要。
死んだ人間を蘇らせることは無理なのでそこからのストーリー展開は色々あれど、闇落ちするか乗り越えるかのどっちかだろう。
それに対して記憶消失系は、せめてもの救いのために、色々な結末を用意してくれる。それの違いが多種多様なために、これは許せる、絶許かどうか好き嫌いできる。そこからどう物語に決着つけさせるか見ものであるから楽しい。そしてそういうものは得てして見た人の記憶に残りやすい。だいたいが、「おれたた」的な感じで中途半端に終わらせるからだ。私みたいなハッピーエンド厨に「欲を言えば〜」とか思わせられるし。
てなわけで「記憶消失系」に対してツンデレなんですよ。
「君の名は。」はパラレルとかではなく、みつはが死んでしまった世界が上書きされたから、だから元の世界で面識があった2人の記憶も消失してしまった系だと思ってる。
記憶消失要素を飽和状態になるくらい取り入れたから、人の心に残りやすいのだろうね!
この映画のギャグ部分も寒くなくて微笑ましかった。特に胸を揉むむていう入れ替わりお決まりの行為も最終的に感動とない交ぜになるくらいのギャグシーンとして仕上げていて、ある意味感動した。
ただ、みつはが瀧からそっぽ向いて噴き出すシーンは、「は?」となったのは内緒です。「めんどくさヒロイン」かよ、とか思っちゃった。ヒロイン側の過失なのに、ラノベ主人公を「キャースケベ!!」とか言って殴るヒロインが苦手なのだ。(お前の裸にどれくらいの価値が。)
それ以外は、神木君はもちろん。不安要素だったみつはの声をあてた人も上手かったし、可愛かったし、長澤まさみって気付かせない奥寺先輩も良かったし。「声優使えよ!」と思わなかった作品だった。珍しく。「バケモノの子」とか、まじかーつって見に行かなかったし。
映っているアングルも面白かった。
RADWIMPSの「前前前世(movie ver)」
の歌詞「君の消える痛みまで愛したいよ」とか記憶消失すらも肯定してる、から面白い。ポジティブだなー地理も時空も生死の壁、障害という障害のオンパレードを乗り越えた2人には生涯添い遂げてほしいです(だじゃれ)
映像美とストーリーと声の演技も、音楽も全て兼ね備えていた、近年では珍しく満足できる映画でした。これは映像でみないとダメだ!映画館の大画面でおもいっきし泣いてこい!ってことで多分小4の妹連れてまた見に行きます。とりあえずアナザーストーリー本買っとこう
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